vol.30 環境治療先進都市・釧路 齊藤慶輔先生を訪ねて

このたび、私たちは“道東を救う騎士”として今、注目を集める齊藤慶輔先生のもとを訪れ、猛禽類医学研究所の現場に足を運びました。

人間の営みによって命の危機にさらされた猛禽たちを救い、終生飼育という「生きる意味」と向き合いながら歩まれている先生。その活動の場を、先生自らのご案内でバックヤードまで拝見させていただきました。

間近に見る大鷲、オジロワシの凛とした姿。静かに、しかし確かに生きるその存在感に、胸を深く打たれました。

整然とした研究所の空間は、ただの救護や実験の場にとどまらず、先生の深い想いと、それを具現化していく比類なき実行力が結晶した“祈りの場”でもありました。

釧路湿原は1980年、日本で初めてラムサール条約に登録され、1987年には日本最大の湿原として釧路湿原国立公園が誕生しました。

「環境治療先進都市」としての釧路の歩みは、まさに世界に誇るべきものです。

しかしながら、今、その町を襲うのは、景観と生態系を無視したメガソーラー開発の侵略。
そのあまりの酷さに、言葉を失います。

数千年の時をかけて育まれた大自然。
それを破壊するのは人間の一瞬の欲。
そしてその損失は、取り返しのつかないものです。

このかけがえのない自然を、私たちは「国民共有の財産」として守らねばなりません。
そのために必要なのは、社会全体がその価値を“常識”として共有すること。

たとえ解釈や立場が異なるとしても、共に歩む道を見出し、少しでも未来に光を灯すために――
今回の視察は、その覚悟をあらたにする機会となりました。

これからも齊藤先生と力を合わせ、法や社会の構造に風穴を開ける挑戦を、共に続けてまいりたいと存じます。

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