NPO弟子屈自然共生協会「サロルンカムイ」設立の経緯

2020年コロナの最中、生まれた「自然の森羅万象とつながる時空プロジェクト」TAMATEBAKO AYNU。2021年の4月に竣工し、15年続けた世界を旅する異民族解読の子供ワークショップが止まるほど弟子屈の大自然と生活にすっかり魅了されてしまいました。そして、月10日の弟子屈生活でみえてきたこと、起こったこと、感じられたこと、大自然との様々な体験から、心と体がつながり、五感、六感がひらかれていくことを実感致しております。

今、世界中で「エシカル」「サステナブル」が時代のキーワードとなり、2015年9月の国連総会で採択されたSDGs(エスディージーズ)「Sustainable Development Goals」は、17の世界目標と169の達成基準を定め、2030年までにより良い地球のあり方を目指そうとするもので、地球環境の保護・回復など、国や人種を超えて達成すべき目標が掲げられています。

「サステナビリティ」がファッションやトレンドとして終わらないためには、経済合理性、投資対象になるものでないことが、真の意味での持続可能につながると考えます。「地域創生」「地産地消」も現代のテーマですが、その土地ならではの「こと」や「もの」が文化をつくります。そして、人間界が敵わない自然界と共生し、目に見えない世界に敬意を表する、日本人の本来の精神性に世界への規範がみえてくるように思います。

大自然の声が残っている道東の大自然の天地は、世界が今、再構築しようとしていることを、語らずしてその姿から伝えてくれています。北海道道東にある弟子屈町は「てしかが」と読み、町の由来はアイヌ語の「テシカ・カ(岩盤の上)」から来ています。

摩周湖、屈斜路湖、釧路川源流などの自然といくつもの温泉を持つ弟子屈は、大自然の宝庫です。日本の象徴、北海道の道鳥でもある特別天然記念物丹頂鶴が暮らすこの弟子屈の大地は、世界の問いかけの答えと宝に溢れています。

そして北海道の蝦夷文化は日本の骨層の縄文文化と繋がります。哲学者、梅原猛氏は、隠された原日本の魂といい、「日本の深層」という著作を著しました。自然と共にあるアイヌの生き方、魂、哲学には今、我々が学ばなくてはならない尊い、精神と伝統があるのです。

〈活動内容〉

  • 森プロジェクト、森を繋ぐ
  • 開発から自然を守り生活環境配慮から地球環境保全、弟子屈ルールブックの制作
  • 特別天然記念物丹頂鶴と暮らす里を守る
  • 弟子屈町を星空保護区にする
  • 縄文、アイヌ文化の哲学研究
  • 新しいエネルギーシステムの開発と構築
  • 環境再生農業弟子屈モデルの構築
  • 自然との共生の意識改革セミナー、研修、研究、イベントの開催
  • 弟子屈の食文化の研究
  • 森の空間デザイン美学研究

TAMATEBAKO AYNUに訪れ、弟子屈町の大自然に共鳴してくださった仲間と共に、価値観を共有し、こうした活動を具体的に発信してまいりたいと存じます。

2023年5月吉日 川邊りえこ