vol.26 「Nature’s Rescuers」第二回 砂湯

昨年予定されていた活動は、雨のために2度の延期を余儀なくされましたが、今回はようやく晴天に恵まれ、無事に開催することができました。

舞台となったのは、弟子屈の冬の絶景のひとつ、シベリアから渡ってくる大白鳥が舞い降りる屈斜路湖、砂湯。
「駐車場の奥は、クマゲラが現れる貴重な場所。以前からゴミが気になっていました」と語るのは、おなじみエコツアーズの吉田さん。今回はその言葉から、活動場所が選定されました。

自然の中で朽ちることのない人工物は、思いのほか目立ちます。
不穏な存在を取り除いていく作業は無我夢中で集中。気づけばあっという間に2時間が経過。思いがけない、蕨の群生にも出会いました。そして、達成感とともに、多くのゴミが集められました。

作業の手を止めて見上げれば、静寂に包まれた屈斜路湖の輝く湖面と、いまだ雪をたたえる藻琴山が佇んでいます。
自然は、語らず、裁かず、ただ在り続けます。万物を受け容れ、流し、巡らせる大いなる知恵があります。

人は自然の一部でありながら、いつしか傲慢に、その循環の外に立ってしまっているようです。

自然と共に生きるとは、
山や湖、渡り鳥のまなざしの中に、自らの在りかを見出し、原初の感覚に立ち還るとき、人間の営みはようやく、調和という名の美しさを纏いはじめるのかもしれません。

捨てられている人工物は、土に還らぬ言葉のように、風景の記憶にとどまり、沈黙のうちに問いを投げかけてきます。

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