vol.34 「エゾアカマツの森の世界」宮本英樹氏とゆく自然巡礼

NPOメンバーであり、大沼・流山牧場の代表。
積丹から函館まで、牧場づくりを通して地域の未来を編み続ける社会起業家、宮本英樹氏
ネイチャーガイドの“レジェンド”と称されるほど深い自然観と経験は、広く知られています。

今回、私たちは宮本氏とともに、硫黄山から川湯のアカエゾマツの森へ。
森と樹木が辿る輪廻転生の世界を学ぶ一日となりました。

■ 火山が大地をリセット

最初に訪れた硫黄山では、噴火と火山灰によって一度ゼロに戻された大地に、どのようにして生命が立ち上がるのかを学びました。
はじめに現れるのは苔。
つづいて、フロンティアツリーと呼ばれる白樺と四葉松が姿を見せます。
無機質な火山地形に、淡い緑の命が静かに芽生えていく。
その瞬間のダイナミズムを、肌で感じるレクチャーとなりました。

■ 似て非なる、森を形づくる二つの木

その後、宮本氏が企画に携わった川湯ビジターセンターを経て、アカエゾマツの森へと向かいました。

ここでは、北海道東部・北部を象徴するアカエゾマツとトドマツの違いを学びます。

  • 葉のかたち
  • 香り
  • 樹皮の手触り
  • 森が放つ空気の密度

ひとつずつ確かめながら歩くと、同じ針葉樹であっても、森がまとう“質”がまったく異なることに驚かされます。

とりわけ「川湯アカエゾマツの森」は、ヨーロッパの深い針葉樹林を思わせる佇まい。
火山灰という過酷な環境にもかかわらず純林(単一樹種の森)を形成する、希少な景観です。

■ 倒木更新

火山灰地では地面からの発芽が難しいため、
倒れたアカエゾマツの幹に積もったわずかな有機物を土台に、
新しい命が芽吹く「倒木更新」が起こります。

朽ちゆく木が、次の世代のゆりかごとなる。
森が自らを再生し続ける、その循環そのものを、目の前で確かに見ることができました。

■ 森を“味わい”、森を“感じる”

散策のあとはビジターセンターに戻り、エゾアカマツのハーブティーでひと息。清涼な香りが肺の奥まで広がり、森の呼吸と一体になるようでした。

続きまして、井出氏のレクチャーで学びを深め、更に、エゾアカマツの精油を使ったハンドクリームを調香。殺菌作用やストレス軽減にも効果があるとされる香りを、自らの手で形にしていきました。

また、蒸留器から採れた蒸留水は、その後、
TAMATEBAKO AYNU のサウナロウリュに。

ディナー前、アカエゾマツの香りに包まれ、心身がいっそう整っていきました。

■ 森の一日を締めくくり

ディナーのあとは、香り高いエゾアカマツのジンを少量いただき、
一日の体験がゆっくりと身体に馴染んでいくような、静かな余韻が残りました。

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